ら
ラーメン二郎
世界で最も多くの信者数を誇るラーメン店。圧倒的な脂肪分により脳を破壊し、強烈な依存を引き起こすとされている。この脂肪への依存をもって、二郎に対する信仰心の起源とみなす向きもあるが、それは宗教についての浅薄な理解にもとづく誤解である。信仰は共苦とともに始まるのであり、すなわち脂肪過多による胃もたれの経験、さらには翌日になっても自身の体から放出されるニンニク臭に絶望した経験を乗り越えたがゆえに、彼らは選民としての意識を勝ち取ったのだ。
り
リソース
資源。すなわち、世界に存在する事物のうちで、人間の生活に用立てうるものを広く指す言葉である。ビジネスの場面では、生産活動を行うための「手段」や「キャパシティ」を指しており、原料や機械、土地や人材(およびその労働時間)など多くの要素を含む。
が、日常的な用法の9割において含意されるのは「人的リソース」であり、「リソースが足りない」というのは単純に「人手不足」の状況を指しているケースがほとんどである。「人手が足りない」といった方が具体的状況を描写できているにもかかわらず、「リソースが足りない」といった方が何やら冷静に状況を把握できているような雰囲気を醸し出せるため、長時間労働が常態化しているIT企業などで好んで用いられている。
リテラシー
読み書きの能力。転じて、情報を適切に理解・判断し、その知識を活用する力という意味で用いられる。「ITリテラシー」「メディアリテラシー」「ネットリテラシー」など、その分野における習熟度を示す概念として、「わかってる側の人間」を区別する際に使われることが多い。「あの人はリテラシー低いから」は「バカだから何を言っても伝わらない」の意である。
なお、「リテラシー」の構成要素は発話者によって異なり、理解の通じ合わない相手に対して「これだからリテラシーが低いやつは」と見下す際の如意棒的な尺度として採用されることも多い。
る
ルーティン
習慣的に行う定型の行動や手続きのこと。イチローが打席に立つ際の動作など、とりわけスポーツにおいて心身状態を整えることを目的に取り入れられている。
2015年のラグビーワルドカップにおいて「五郎丸ポーズ」が注目を集めてから、メディアでもしきりにルーティンの重要性が説かれるようになり、「ルーティンとは?効果や実践例を解説!」といった三文記事があふれるようになった。とりわけルーティンの「オンとオフの切り替え」という効果が強調されてきたことにより、現在では一般に「できる人間の習慣」というニュアンスを伴う言葉となっている。
たとえば「できる人間」の朝の習慣は、「モーニングルーティン」となるわけである。なお、大久保佳代子は「朝、コーヒーをゆっくり飲みながら便意の到来を待つ」という習慣をテレビで披露したが、残念ながらこれはモーニングルーティンとしては見なされなかった。
れ
レガシー
遺産のこと。転じて、脈々と受け継がれてきた価値やシステムのことを指す。ネガ/ポジいずれのニュアンスも表すことができ、否定的な文脈では「旧来型の」「時代遅れの」といった意味になる。たとえば「レガシーシステム」は、新しい技術の登場により、メジャーな規格に適合しなくなったコンピューターシステムのことを指す。要するに「オワコン」をオブラートに包んだ言い方であり、格安航空会社が既存の航空会社を「レガシーキャリア」と呼ぶ際などはこのニュアンスが顕著である。
一方、肯定的な文脈においては「後世にまで残るような業績」を指す。「業績」と言わず「レガシー」と言うことで、あたかも永続的な価値を付与されているかのように錯覚できるメリットがある。
なお、組織のトップが具体的なプランもないまま「レガシーを築くこと」そのものを個人的なモチベーションとしている場合、往々にしてその組織は忖度と搾取の温床となり、後世に大きな負の遺産を残すことになる。
ろ
ロイヤルティ(Loyalty)
忠誠心。主にマーケティングや人事の場面で用いられ、顧客や従業員の「自社に対する愛着心」を示す観点となっている。「顧客ロイヤルティ」とはすなわち「その客がどれくらい金を落としてくれるか」であり、「従業員ロイヤルティ」とは「その従業員はどの程度酷使できるのか」である。